皆さんこんにちは。河上 純二 a.k.a JJです。
今回は7月6日(水)~7月8日(金) に沖縄県那覇市で開催された「IVS2022NAHA」に参加したレポートを特別公開します。



オープニング・セッション「どうなる世界〜日本はどう生き残るのか?〜」
非常に幅広く、みなさんが実際感じている危機感、今からどうなっていくのか?というのをVCのキャシー松井さん、投資家の千葉功太郎さん、起業家の佐藤航陽さんお三方の考えを聴いてきました。


テーマ:「市場の空気感、変わってませんか?」いまどんなふうに世の中がなっているのか?

キャシー松井さん

株式市場、内外のトレンド見ていきますと、当然、去年、一昨年、コロナ禍のブルマーケットが一変しました。地獄のような動きです。
2008年金融危機が行ったあとに、特にアメリカ、スタートしたブルマーケットはじめ、2020年まで約11年間、アメリカの歴史の中で最も長い強気相場が経験されました。S&P500メインの株式指数がなんと4割上昇しました。実は、その上げ方を支えるエンジンは5社、つまりGAFAの銘柄が圧倒的な力になってきました。
それ以外の495銘柄は実はあまり業績が伸びず、当時のテック企業がずっと引っ張ってきたマーケットでした。ちょうどこの長期化したブルマーケットが終わるかなと思ったところに、なんとコロナが登場。世界規模のパンデミックが誕生しました。
そこで政策当局や世界中どうすればいいかということで、金利まずゼロ、資本コストゼロにして、そして大量の財政支出をしまくって、バーベキューにガソリンをまくような感じで、ものすごく資産の価値が上がりましたね。株だけではなく土地も上がりました。
2020年から2021年は、正直、リアルな世界ではなかったっていうことを今日強調したかったポイントの1つです。
ここ1年以内に不況に入る確率が4割とか5割とか言われてるんですが、良いこととしては世界中、例えば家計にしても企業にしてもバランスシートが比較的健全なほうなんですね。キャッシュをかなり持っているほうなので、システム全体が落ち込むという恐れが実はそんなにない、減速はするけどクラッシュランディングではなく軟着陸のシナリオが、私今個人的には思っております。ただ、この2年間経験したすごいバブリーな状況が戻ると思っていません。でも、ソフトランディング(軟着陸)になりつつあるっていう感じです。



千葉功太郎さん

キャシーさんからありましたとおり、ガラッと変わったというイメージだなと思っています。
半年前のIVS那須があったときってすごく明るかったんですね。暗いトンネルを2年間歩んできて、その先に光が、まさにここ見ると向こう側のライトの明かりみたいな感じです。光が見える、出口が見えてきたっていうのが去年の半年前で、今はまた暗闇のどん底に入ってしまったなと思っていいます。
暗いだけじゃなくて、よく分からない。たぶんプロに聞いたって誰も分からないことに不透明さがある、不安定さがあるなというのが今のここなので、ほんとに半年間でガラッと、自分自身どうやって生き残っていくのかっていう危機感もいろんな意味であります。

少し市場のお話をしようと思いまして、特にスタートアップの方って、あんまり市場とかマーケットの話とか興味ないと思うんですけど、必ず皆さん全員に影響がある話です。大体マーケットで起こっていることは、時差が半年から1年ぐらいでスタートアップの、特にシードアーリー、ミドルぐらいのところで影響が出てくると思っていて、ぜひここをちょっと見ていただきたいなと思って日興証券さんから借りてきた資料です。

これは何かというと、それぞれの東証株価の指数のグラフです。ピンクのところが去年からの半年間ですね。その中で見ていただきたいのが、上の段の赤い線。下の段の赤い線。これは東証マザーズ、今は名前が変わりましたけどマザーズの指数です。何が言いたいかというと、全体的にこの半年間で相当落ちているんですが、マザーズが一方的に落ちているんですね。下は恐怖指数と呼ばれてるボラティリティ指数で、振れ幅もマザーズが圧倒的にボラティリティがあるというので、これは日本だけじゃないんですけど、世界的にいわゆるテック銘柄が、下がっているという話です。

もう一つ次のページに行くと、直近のもの数年間のマザーズで見たIPO市場を見たときに、IPOした時の価格から大きく落としたときに、現在のそれぞれのテック企業、IPO企業がどれくらいの株価をつけていたのかを、単純に半年前から比べると、半年前っていうのは100%を超えていたんですね。つまり、まあまあ順調に行っていると。それに対してこの半年間で今60ぐらいの指数を出している。つまり、平均で60%落ちています。これはIT、非IT含めて60%なので、IT企業だとたぶん半分以下ぐらいの、ひどいところだと3分の1ぐらいの株価をつけているところもあるんじゃないかなというぐらい、極めて今市場からはわれわれスタートアップテクノロジー銘柄っていうのが低い評価をいただいているような状況になっています。

もう一つ、今年のIPOの足元の話ですね。これは東京証券取引所のいわゆる新規公開数のグラフです。ずっと良かったんですね。何だかんだコロナ禍になっても絶好調で、特に去年の2021年はここにあるとおり120社を超える新規IPOがあったんですが、今ちょうど今年、半年終わって21ぐらいですかね。極めて少ないです。
これは皆さんの先輩から聞いたりしていると思うのですが、今年に入ってからIPOを中止する、延期するという案件が立て続けに起こっています。これは新規の生業のマーケットが急落しているのを見て、なかなかIPOをするときに希望の出せる額が折り合わない、折り合えないといったようなさまざまの事情で延期せざるを得ないということが立て続けに起こっています。
そんな状況が今、市場には起こっています。去年までってお祭り感覚だったかなと思っていて、お祭りというのは、ほんとにIT業界どんどん資金調達できるし、時価総額も大きくなります。
特にSaaS企業だとPSRという指標がよく言われているんですけど、PSRで売上の何倍の時価総額というような話もありましたが、今は急激にその基準とか考え方も逆転というか、違う変化を見せているんじゃないかなと考えています。



佐藤航陽さん

資金調達マーケットは、まさにお二人の専門的な話を聴くと、合っているかなと思っています。
テクノロジーにおいても結構ガラッと変わってきているなと思いました。
一番はやっぱりITが成熟産業になって、世界中の変化の中心じゃなくなったっていうのは、ほぼこの半年間、1年間ぐらいで確定したんじゃないかなという気はしています。
SaaSとかエンタープライズ向けのDX、SaaSというのが出てくるということは、テクノロジー的には一番最後なんですね。基本、新しいテクノロジーって消費者から始まっていって、徐々に起業家に大きいところを駆け上がりながら成長していって、最後に行政のDXが一番最後に来るんですけど、そこに近づきつつあり、たぶんこのあとワンタームが終わってまた新しい時代が始まる瞬間っていうのがちょうどコロナと重なったのかなと思っています。
個人的には新しい流れ、新しいテクノロジーのどこに行くのかって私もずっと2、3年ぐらい探していて、ほぼほぼここじゃないかなっていうのが3つかなと考えていました。
1つが宇宙開発、これほぼ間違いないと思うんですけど、ここは世界中で次に思い浮かぶとなっていると思う。
2つめが仮想空間、仮想現実。最近ですとメタバースなんて言葉で言われますけど。
3つめは、SDGs、ESGみたいな、資本主義のバグフィックスですよね。やり過ぎてしまったっていうのを直しに行くっていう中で、エネルギーだったり、食糧問題でしたりというところのこの「3テーマ」が、この世界の次の10年、20年が取り組むテーマだと思うので、そういう意味ではGAFAの商品、ITの成熟化が起きて、ほぼほぼこの決着がついたっていうのが誰の目にも明らかになった瞬間だと感じていました。



(後半へ続く)



■河上 純二 a.k.a JJプロフィール

ビジネスプロデューサー/パーソナリティ/モデレータ
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