◆メリット
・素晴らしいバッテリー駆動時間
・超軽量14インチノートパソコン
・8つのMil-STD-810G認証
・電磁誘導ペン同梱

◆デメリット
・ストレージ性能が低い
・設定の自由度が低い
・ハイエンドなディスプレイオプションがない

◆全体評価
評価:8.6/10

クリエイティブユーザー向けの超軽量14インチノートPCとしてLGが売り出した2019年モデルの「LG gram 14 2-in-1」(1199ドル~)は、本格的なタブレットPCに変身できる2-in-1ノートです。付属の電子ペンは高感度で快適な使い心地。DellのXPS 13やMacbook Air 2019と比較したデータもあります。LG gram 14 2-in1がどのような製品なのか見ていきましょう。

スペックのハイライト

LGはウェブサイト上で単一の構成を提供しているため、購入を検討するユーザーはスペックのバリエーションよりも機能性に焦点を当てられます。LGは競争力のある製品を作るために興味深いトレードオフを行いました。詳細を見ていきましょう。

・14インチ1920×1080(約300NITs)、IPS液晶、Gorilla 5ガラス
・インテル第8世代Core i7-8565U
・RAM16GB、512GB SSD(Sata3)

インダストリアルデザイン

LG gramが軽いのは、筐体がマグネシウムでできているからです。マグネシウムは非常に軽くて丈夫なので、製造コストはアルミニウムよりも高くつきます。それでも炭素繊維よりは安いです。

マグネシウム金属はアルミニウムよりも約30%軽いので、プレミアムノートパソコンによく用いられるようになりました。一部のOEMはオールマグネシウムパソコンを製造していますが、そのほとんどはコストを下げるために金属とプラスチックを組み合わせたものを使用しています。

デザインはクリーンな見た目ですが、よりコンパクトなXPS 13や、より高価な材質でできたLenovo ThinkPad X1 Carbonなどに比べると情熱的ではありません。

“Milスペックテスト認証をパスしたノートパソコン”

LG Gram 14 2-in-1のフットプリントは、Lenovo X1 Carbon 2019よりも少し(14%)大きいです。もっとずっとコンパクトなモデルが欲しいならMacbook Airは17%小さく、XPS 13は40%小さいため、これらも考慮に入れるべきでしょう。

このノートPCは8つのMIL-STD810Gテストに合格しており、競合であるXPS 13やHP x360、MacBook Airは認定されていないため、これは十分に珍しいことです。X1 Carbon、X1 Yoga、その他のレノボ製ThinkPadノートPCは12のテストに合格しています。気になる方は、レノボのレビューをチェックしてみてください。

このノートパソコンのMIL-STD-810Gミルスペック認証は、米軍の戦場での保管や輸送に耐えることを意味します。これは戦場でそのまま使用できるという意味ではありませんが、多くのラップトップよりもタフネスが高いことを証明しています。

MIL-STD-810Gは、ノートパソコンは重く、落下による内部システムの損傷の可能性が高いため、携帯電話のMilスペック認証よりもはるかに意味があります。

キーボードとトラックパッド

キーボードのキーサイズは標準的なものを採用しています。キーは油脂を弾くようなプラスチックで作られており、手触りはさらさらとしています。キーの形状は平らで特筆することはありません。約1.2mmのキートラベルは、しっかりとした触覚フィードバックと非常に少ないノイズで、満足のいくものです。

LGはキーボードに耐水性があるとはいっていません。右上の電源ボタンは指紋センサーとして機能します。

約10平方インチのトラックパッドは非常にまともなサイズですが、競合を見るとHuawei Matebook X ProやMacBookのような、もっと充実したサイズを見つけることができるのは間違いありません。トラックパッドの底面には物理的な「クリック」があり、左右を使ってマウスボタンをエミュレートできます。

ポート

超薄型や小型というわけではないので、ポート類は充実しています。microSDカードリーダーを含む各種ポートもありますし、USB-C to イーサネットアダプターも同梱しています。

・1×USB Type-C 3.1 Gen1
・2×USB Type-A、USB 3.0
・1×標準HDMI
・1×Flashリーダー、MicroSDXC
・1×3.5mm audio

残念ながらThunderbolt USB-Cがないので、モニターを接続するにはフルサイズのHDMIを使うのが良いでしょう。LGはHDMIポートが1.4かどうかを明記していないので、60Hz4Kディスプレイを接続したい場合は、別のモデルを検討した方がいいかもしれません。

Thunderbolt USB-Cポートは、外部GPUや超高速ストレージと一緒に複数の4Kモニターに接続できるので、とても強力です。とはいえ、誰もが実際にThunderboltの機能をフルに使っているわけではありません。

USB-C PDも非対応で、電源供給は丸形コネクタとなっています。この価格帯は普通PDに対応しているモデルが多く、なぜ対応していないのかは不明です。

サウンド/スピーカー

2つのスピーカーを搭載したLG Gram 14のステレオ設定は「まあまあ」ですが、ボディと迫力に欠けるため、感動はしません。映画を見る分には大丈夫ですが、オーディオにどっぷり浸かることを期待していると期待はずれになってしまうかもしれません。

ディスプレイ

ディスプレイは選択肢がなく、ゴリラガラス5と光沢を備えたFHD(1920×1080)IPS液晶のみとなります。

sRGB色域は96%で、クリエイティブな作業には十分であり、一般的にはきれいに見えるでしょう。しかし、Dell XPS 13やLenovo ThinkPad X1 Carbonは、最大120%のsRGBカバー率と、より良いカラーレンダリングオプションを持っています。

輝度に関しては、314 NITでまともな性能です。色と明るさの両方とも、編集部のラボでDatacolor Spyder X Eliteモニターキャリブレーション装置を使用して測定しています。

ほとんどの人にとっては、LGのディスプレイ・オプションは価格的にもスペック的にも十分ですが、個人ユーザーの中は、2560×1600や3840×2160の解像度と、OLED、HDR10またはDolby Visionなどの他のオプションを備えたハイエンド・オプションを求める人もいるかもしれません。

ウェブカメラ

720pのウェブカメラはかなり標準的。映像はそのカテゴリの多くの競合他社と比較しても違いはなく、薄暗い照明(30 NITs)では粒状に荒くなります。

残念ながら、PCメーカーはウェブカメラでは競っていません。ほとんどの場合はスマホの自撮りカメラの方がきれいに映るでしょう。

同梱のペン

LGペンはワコムの技術に基づいており、4096レベルの圧力を感知できます。私はデザイナーやアーティストではありませんが、ペンは握り心地が良く、指の近くに2つのボタンがあります。“消しゴムボタン”はありません。

ペンのAAAAA電池は「最大18ヶ月間」持つと言われており、これらの電池は食料品店で簡単に見つけることができます。また、ヘビーユーザーのための充電式バージョンもあるということです。

パフォーマンス

当然のことながら、LG Gram 14の性能は、i7-8665を搭載したX1 Carbonのような、近いCPUとIntel統合グラフィックスを搭載した他のノートパソコンと非常によく似ていますが、考慮すべき重要な要素もあります。

・より高いグラフィックス性能が必要な場合は、ディスクリートGPUまたはインテルの第10世代統合グラフィックスを利用すると、性能を倍増させられます。

・レンダリングなどのためにより高いCPU性能が必要な場合、Core i7 10710Uのようなインテル第10世代プロセッサを採用するとかなり高速化できます(+35%)。

・MacBook Airを検討している方は、性能面を考慮してMacBook Proを検討してみてはいかがでしょうか。

Gramでは、LGはSSDのプロトコルとしてSATA3を選択しており、PCI-NVME SSDドライブと比較すると性能に大きな影響を与えているようです。例えばGramは、PCMark 8ストレージテストで約221MB/秒の速度を得ています。同じテストでは、Carbon X1 Carbon(2019) は約380MB/秒となっています。

ディスクを多用するアプリケーションにとってこれは注目に値する差であり、おそらく生産性の面でも実感できる差でしょう。あなたが利用しているアプリケーションがそれほどディスクを使用しない場合は、この差はあまり感じられないかもしれません。

バッテリー駆動時間は素晴らしい

Gramは200NITの明るさで約9時間バッテリー駆動できる優れたマシンです。最近レビューしたThinkPad T490はWQHDの解像度ではあるものの、バッテリー駆動時間は6時間38分でした。解像度が上がるということは、バッテリー駆動時間がそれだけ短くなるということを示しています。

Gramのバッテリー駆動時間が長いのはディスプレイの解像度だけでなく、72Whの大容量バッテリーの影響もあります。これは13~14インチのノートパソコンの中では最も大きい部類です。

“我々がこのカテゴリで見てきたなかで最高のバッテリーの一つ”

T490のバッテリー容量は約50Whで、これと比べても違いが分かると思います。

バッテリー充電速度

残念ながら、充電速度は0Whから70Whまでに2時間かかるため、容量ほど印象的ではありません。例えば、ThinkPad X1 Carbonは36%速く充電することができます。

充電速度はACアダプターのワット数に関係しています。LGは48Wで、Lenovoは65WのACアダプターを採用しています。

まとめ

LG Gram 14 2-in-1は、ニッチな領域を切り開こうとしているエキサイティングなノートパソコンです。超軽量で、ThinkPad X1 Carbonのようにいくつかの堅牢性テストに合格しつつ、X1 Yogaのように360度折りたためるし、まともな電子ペンも付属しています。

ThinkPad X1のデザインは優れており、特にX1 Carbonは見栄えが良いですが、LGは価格が抑えめでコスパで選ばれる可能性があります。一方、Intelの“vPro”機能と管理を好むユーザーはLenovoを選ぶかもしれません。

このノートパソコンをDellのXPS 13と比較する人のために:DellのXPS 13は、より多くのCPUオプションを持っており、選択によってははるかに高いパフォーマンスと良いディスプレイで構成できます。また、フットプリントもよりコンパクトです。しかし、Gramほど頑丈であることは保証されていませんし、ディスプレイのサイズもわずかに小さいです。

MacBook Airに関しては、事実上あらゆる面でパワー不足で、タッチやペンもサポートしていません。また、重量も9%も重くなっています。

結局のところ、LG Gram 14 2-in-1は、ある特定ユーザーのための完璧なコンピュータではありませんが、その機能や全体的な品質、コストパフォーマンス、あなたのニーズ(軽量、2-in-1、ペン、Mil-STD-810G)によっては魅力的に思える製品だといえます。

この記事は、編集部が日本向けに翻訳・編集したものです。

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